『脳を活かす仕事術− 「わかる」を「できる」に変える』茂木健一郎

久しぶりに書籍紹介です。

『脳を活かす仕事術−「わかる」を「できる」に変える』茂木健一郎 著、PH P研究所、1100円+税

火曜の夜10時からNHK総合テレビで放映されている「プロフェッショナ ル」のキャスター、茂木健一郎さんの 最新作です。


大変分かりやすく、私は授業でも引用していますが、学生にも好評です。以 下は本書のポイントの一部です。


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脳の活性化には「感覚系の学習」(五感による情報の入力)と「運動系の学 習」(実践、アウトプット)のバラン スとサイクルが重要。現代人は「感覚 系」が発達しているケースが多いが、一般的に出力が不足。(pp.21-24)

そして脳内の感覚系学習と運動系学習を司る領域は直接つながっておらず、一度外部に出力し、再び感覚系回路で入力する。こ のサイクル、キャッチボールが重要。(中 略)脳に入った情報は、そのままでは断片化したままだが、そこに「行動」 や 「体験」を加えることによって、少しずつ整理・編集され、「意味」とい う抽象概念に変換される。(p.36-37)


ただ、アウトプット、といっても著作、ブログなどの作品まで構えなくとも 、「人に話す」だけでも十分な出力 だ。(p.29)


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創造性は「経験x意欲+準備」で生まれる(第4章)

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学生には、出来るだけ「出力、アウトプット」のトレーニング、しかも一人 ではなく、グループ作業の機会を提供 するよう努力しています。たとえば、 以前に話題にした、以下の「スウェーデン式のケーキの分け方」の賛否を3 −4 人のグループで議論してもらったら、たった15分で意見が出るわ出る わ、驚くほどでした。


活かし方次第では脳の能力は無限ですね。

「スウェーデン式のケーキの切り方があります。丸いケーキを5人で分ける時、 日本では均等の大きさに切り分けるでしょう。それが公平だと考えます。一方スウェーデンでは、ケーキを回して各自が自分の食べ たい分だけ切り取っていきます。たくさん食べたい人もいれば、甘いものが苦手な人もいる。必要な人 に与えるのがスウェーデンの福祉の考え方なのです。」

 (河本佳子=スウェーデン在住の作業療法士、『アゴラ』2008年2月号)