若者の雇用問題

19日の政府の「雇用戦略対話」で若者の雇用問題が取り上げられ、注目されている。

 

大卒・高卒とも、中退・一時的な仕事・早期離職も含めると、高卒の3人に2人、大卒の2人に1人が、教育から雇用へと円滑に接続できていない現状が明らかにされた。

 

以下は資料1 内閣府「若者雇用を取り巻く現状と問題」 で取り上げられた問題点とそれに対する私のコメントです。

 

 

我が国の若年失業率は、新卒一括採用(卒業見込みの学生について、特定の時期に働き始めることを前提に、在学中に内定が決まる採用慣行)もあって、諸外国と比べ低水準。
→ 新卒一括採用と多様な採用機会の提供の両面が重要。
大卒・高卒の就職率は、9割超という水準。もっとも、大卒・高卒とも、中退・一時的な仕事・早期離職も含めると、高卒の3人に2人、大卒の2人に1人(一定の前提条件を基に推計)が、教育から雇用へと円滑に接続できていない。
→ キャリア教育・職業教育の充実により、社会人として自立して生きていくために必要な能力や態度の育成を図るほか、就職支援の仕組み等について学ぶことが必要。

 

新卒一括採用はおそらく持続不可能な採用形態かもしれませんね。多様な雇用機会の提供は不可欠でしょう。

 

大学に入っても職業を意識していない、又は大学に入ってから意識した者は、自分の適性や就きたい職業等で悩み、社会に出ることに不安を感じている傾向。
インターンシップは、学校単位の実施率は高水準ながら、個人単位では、公立普通高校で15%弱、大学で1割弱と低水準。
→ キャリア教育については学校教育全体を通じた取組が重要となるが、高校・大学入学後、早期に、キャリア教育の中核的取組として、インターンシップ・職場体験等を実施することが課題。

 

北欧などでは、長期インターンシップ(主として提案型)が企業にとっても採用のテストにもなっています。日本のような何回かの面接だけで採用を決めるのは双方にとってそもそも無理なのではないでしょうか。その意味で、長期提案型インターンシップは今後日本でも普及が期待されます。

 

若年層の非正規雇用は1990年代半ばから大きく上昇。非正規雇用1756万人のうち、在学中を除いた非正規若年者は414万人、このうち正社員への転換を希望している者は、およそ170万人弱(推計)。
大卒の男性は、30歳代では、9割超が正規雇用。女性や低学歴層では正規雇用比率が低い。
→ 教育の機会均等の確保が重要。若年層の不本意非正規に効果的な支援策充実が課題。

○ 若い世代では、20歳代後半でも正規につけなくなってきている。正規になろうとする者、なった者のいずれも減少する傾向。
→ 正規雇用にいかに早く就けるように支援するかが課題。

 

〈正規雇用にいかに早く就けるように支援するかが課題〉は分かりますが、北欧の事例をみても容易な課題ではなさそうです。

 

それよりも、今後はある程度の非正規雇用の存在は不可避な時代である、との認識から、非正規雇用でも安心して働ける環境づくりが必要なのかもしれません。

 

具体的には、非正規雇用にも健康保険、年金等の社会保険が適用されるようにすること、また非正規雇用も正規雇用へのステップとしてキャリアが評価される社会的な視点、などが必要ではないでしょうか。