障がい者のアシスタント市場ー過熱する福祉民営化の現場レポート

スウェーデンの公共放送Sveriges Radioのレポート〈Jakten på assistanspengarna アシスタント予算の競争〉は、スウェーデンにおける福祉民営化の現場からの衝撃的な報告でした。 スウェーデンの福祉民営化もここまで来たか、という感じです。

 

スウェーデンでは一部の障がい者(現在約16000人)にはパーソナル・アシスタント(PA)が社会保険の費用で手配され、日常生活のお手伝いをします。

 

障がい者は①自治体にPAの手配を依頼する、②自分でPAを雇用する、③PAを派遣する民間企業に依頼する(現在約1700社あるそうです)、のいずれかの方法でPAを手配するのですが、民間企業に依頼するのが一般的なようです。

 

PAの業務は企業にとってはなかなか〈おいしい〉業務のようで、Sveriges Radioによれば、障がい者一人あたり年間30万クローナ(450万円)程度の利益が見込まれるそうです。

 

そのため、この市場では、PAが必要な障がい者を獲得するために、激しい競争が拡げられているとのことです。以下は番組で紹介されたマーケティング手法の例です。

 

・電話によるセールス

・街頭での障がい者によるセールス

・タイ、カナリー諸島のバカンスの招待

・3000クローナ(45000円)程度のプレゼント券

・家賃の補助

 

番組によれば、配布される予算を企業がどのように使うかは社会保険庁もチェック出来ないとのこと。

 

いうまでもなく民営化のメリットの一つは選択肢が広がることですが、PA市場のこの過熱状態はどう考えても行き過ぎではないでしょうか。