アップルから受けたダブルパンチ−フィンランド経済の苦悩とチャレンジ

今月はフィンランドに行く機会が2度あります。フィンランド経済の近況をチェックしてみました。

 

フィンランドの銀行NordeaのBjörn Nalle Wahlroos会長によれば、フィンランドはアップルからダブルパンチをくらいました

一つはiPhoneによるNokiaのノックダウン、もう一つはiPadにより減少する紙の需要です。

 

Alexander Stubb首相もあるインタビューで、〈Steve Jobsがわれわれの雇用機会を持ち去った〉と表現し、フィンランド経済は〈20年来の悪い状況〉と述べています。

 

Nokiaはかつて世界ナンバーワンの携帯電話メーカー。ノキアの従業員は1993年には14000人。 2000年には24000人に増加しましたが、今日は6 000人に減少しています。かつてノキアは一社でフィンランドのGDPの4%、フィンランドの輸出の30%(2000年)を担っていただけにそのロスは多大です。

 

電子機器部門のフィンランドの総付加価値生産額に占める割合は2007年の6%から近年は1%ほどに減少しています。(Figure 4)

 

一方で元ノキア社員らによる新たなベンチャー企業が続々誕生しています。

ノキアは新規事業をスタートアップする社員に対して、25000ユーロの補助金を出しました。その結果400社強が誕生しています。

Rovios Angry Birds(ゲーム) は800人の従業員を抱え、フィンランドの他、スウェーデン、中国、韓国、日本、英国、米国で事業を展開しています。

 

フィンランドのGDPは今年も3年連続で実質減少が見込まれています。経常収支は約20年振りに赤字に転落(Figure 5)。しかし今のところ失業率は近隣の北欧諸国等と比べてもそれほど悪化していません。

 

ポストノキアのフィンランドの新たなチャレンジに注目したいものです。

 

 

 

参考資料:

OECD Economic Surveys Finland, February 2014

Finland står inför tuffa utmaningar, Svenska Dagbladet 2014-09-06

Apples 2 slag mot Finland, Helen Ahlbom, Ny Teknik 2014-09-03

I Finland gror nya företag efter mobilkrisen, Sveriges Radio 2014-09-02