子どもの読書を支援する読書犬

子どもの読書を支援する訓練された犬のことがDN紙(2018-02-13)に紹介されています。

 

ストックホルム市立図書館では、読書があまり得意ではない子どもに、読書犬のテオドールに本を読んでもらいます。

 

テオドールはリネア大学で一年間の読書犬養成コースを終了して修了証を持っている25匹のうちの一匹。

 

リネア大学ではアメリカの事例にヒントを得て2013年からこのプロジェクトを進めているとのこと。

 

スウェーデンではすでに約100匹の読書犬がいるそうです。

 

子どもは一般的に犬が好きで、テオドールのおかげで読書嫌いを克服した7歳のAlineのケースが紹介されています。

 

読みたい本を選ぶのもテオドール!

 

犬との接触は”幸せホルモン”オキシトシンを分泌し、子どもは落ち着いて本を読めるようです。

また登校拒否の子どもでも、読書犬に本を読みたいので学校に行くようになったケースもあるようです。

 

 

 

図書館は退位すべきではない by Hédi Fried

 

Hédi FriedさんのDN紙の意見記事”Biblioteken får inte abdikera 図書館は退位すべきではない”を読みました。

 

Hédi Friedさんは1924年ルーマニア生まれ。(93歳) AuschwitzBergen-Belsenにおける強制収容所で生き延び、1945年7月にスウェーデンに逃避。強制収容所の現実を伝え、人種主義を批判する活動で、例えば1997年のEuropean of the year, 2015年のRaul Wallenberg賞などを受賞。

 

DN紙の記事のHédi Friedさんの主張のポイントは以下の通りです。

 

・図書館は国民の教養のために必須であり、”退位”は出来ない。

・スウェーデンが農業国家から高度産業社会に変身させたのは、他の多くの欧州諸国のように多くの命を犠牲にした革命ではなく、Lene Rachel Andersen とTomas Björkman が ”The nordic secret” (2017) Bildung(教養)と呼んでいるものである。

・今日のスウェーデン社会では残念ながら教養のプライオリティは高くない。

・国民に高い教養がなければ民主主義の危機につながる(後述)。

 

先日米国上院の報告書"PUTIN’S ASYMMETRIC ASSAULT ON DEMOCRACY IN RUSSIA AND EUROPE: IMPLICATIONS FOR U.S. NATIONAL SECURITY" (プーチンのロシアとヨーロッパにおける民主主義に対する不釣り合いな攻撃:米国の国家の安全に対する意味、2018-01-10)を紹介しました。

 

この報告書では、北欧諸国からの教訓として、”よく教育された教養の高い国民に対しては情報攻撃も効果的ではない”と結論し、批判的思考を育成する教育、市民の間の信頼感が相対的に高いこと、汚職等が世界でも一番少ないこと、などが触れられています。

 

Hédi Friedさんはハンガリーやポーランドの政治状況をフォローしてきたMaria Leissnerさん(自由党元党首)の記事”Vägkarta för nyvalda auktoritära populister=新しく選ばれた独裁的ポピュリストの道路地図"を引用しています。

 

Maria Leissnerさんの経験によれば、独裁的ポピュリストが民主主義の力を剥がしていく道路地図は以下のようなステップです。

 

・憲法を守る裁判所など司法権をコントロールする。

・公共放送を政治化する。ジャーナリストやメディアを脅かし、自己糾弾する状況を作る。

・官僚の政治化。政治的に中立な官僚を辞めさせ、政治的に忠義な官僚に置き換える。

・大統領令、または国会のイニシャティブで、通常の議論のプロセスなしにバタバタと特急で法制度を変えていく。

・児童補助金を引き上げたり、国境を閉鎖したり、国民の人気取り政策をとる。

・オムビューズマン、人権擁護組織などを無力化する。

・人種や性的マイノリティーの保護システムを撤廃する。

・国営企業、知人友人などに経済的利益を与え、”親分子分関係”を作る。

・ソーシャルメディアで政府案の現実性を強調する。強いリーダーは薄情な国民の犠牲になっている、と伝える。

 

などなど14ステップが挙げられています。

 

Economist Intelligence UnitのDemocracy Index 2017では、日本の民主主義は23位で"flawed democracy=欠陥のある民主主義"、Media freedom ranking では日本は31位で"partly free"とされています。

 

日本の民主主義を守るために今何が必要なのか、議論が必要です。

 

 

 

 

Democracy Index 2017 by The Economist

The Economist Intelligence UnitのDemocracy Index 2017 - Free speech under attack

を読みました。

 

Democracy Indexは2006年から始まり、今回は10回目、世界165の国々の民主主義の状況を指標化しています。

 

総合指標でトップから、ノルウェー、アイスランド、スウェーデン、ニュージーランド、デンマーク、アイルランド、カナダ、オーストラリア、フィンランド、スイスの上位10カ国をはじめ、19カ国が"full democracy"。

 

日本は23位で"flawed democracy=欠陥のある民主主義"。とくに政治参加と政治文化が指標を下げているようです。

 

Media freedom ranking では日本は31位で"partly free"。

 

皆さんはこのThe Economist Intelligence Unitの評価をどのようにお考えでしょうか?

私は残念ながら納得せざるを得ない懸念を覚えます。

 

かつて戸田一夫さん(元道経連会長)と北欧をヒントに”産業クラスターによる北海道の活性化”の議論に入れて頂く貴重な機会がありました。私のこれまでの人生でも最も尊敬させて頂いている方のお一人です。

 

何度かデンマークやフィンランドを含む北欧諸国をご一緒に視察させてもらい、暑い議論になりました。議論のポイントの一つは”民主主義”でした。

 

デンマークでは”デンマークの民主主義”という表現をよく聞きました。そして”日本の民主主義”とは何か? という議論でした。

 

エコノミストの世界の民主主義指標で、日本は23位で”flawed democracy=欠陥のある民主主義”、メディアの自由度ランクでは日本は31位で"partly free=部分的に自由"とされた現実を直視し、”日本の民主主義”を新たに議論し直すべき時期ではないか、と天国の戸田一夫さんから命じられている気がします。

 

 

2018年は札幌駅南西部にご注目-Head for Sapporo during 2018!

第69回札幌雪まつり(2月5-12日)、HBCスウェーデン広場にストックホルムの大聖堂が建設されました。

 

このオープニングに来札されたローバック・スウェーデン大使を歓迎して4日に北海道スウェーデン協会はセンチュリーロイヤルホテルのレストラン・ロンドで昼食会を開催しました。

 

このランチのメニューは、スウェーデンのまちと姉妹提携をしている北海道の当別と枝幸の食材を使い、スウェーデン料理からインスピレーションを取り入れたハイブリッド by 古川シェフ。(料理の写真は坂本千鶴・北海道スウェーデン協会常任理事提供です) 好評だったようです。

 

センチュリーロイヤルホテルは3月に訪札されるスウェーデン・エステルヨートランド県知事ミッションに合わせ、ホテル内の3つのレストランで”北海道xスウェーデン・フードフェア”を開催予定です。

 

3/23(金)15.30からは同ホテルで”スウェーデン・エステルヨートランド県セミナー- イノベーションと手織技術”が開催されます。(入場無料)

 

3月にはさらに近くの紀伊国屋書店でスウェーデン・ブックフェアも開催予定(3/5-25)。センチュリーロイヤルホテルの南隣りのアスティ45ビルではボルボ車両、アウトドアのホグロフスの製品、スウェーデンの概要を紹介するパネル展示、スウェーデン・レクサンド市と姉妹都市である当別町の物産品などが開催されます。(3/23-25)

 

札幌駅南口に隣接するこれらの建物の間で、スウェーデンをキーワードに新たに人の流れをつくる試みにもご注目です。

 

スウェーデンと日本の国交樹立150年の今年、札幌でも数多くのイベントで目白押しです。

 

A delegation from Östergötland, Sweden will visit Sapporo between 23rd and 25th of March. A seminar "Innovation and homespun technology" will be held in the afternoon, on 23rd of March in the Century Royal Hotel. Kinokuniya holds a Sweden Book Fair (5-25th March), "Hokkaido x Sweden Fair" at Century Royal Hotel's restaurants (1-31 March), Swedish Products Fair (Asty45, 23rd-25th March) are also planned.

 

Head for Sapporo in March!

 

 

Stiftsgården i Rättvik

RättvikのStiftsgården。 Stiftはスウェーデンの教会の地域。全国が13に分けられてあり、それぞれのstiftに司教がいます。

 

レットヴィークのスティフトゴーデンは、1940年代にヴェステロース・スティフトで、教会の研修活動、青少年の安心出来る環境、そして休暇に使える施設を建設したい司教の意向で1942年から活動を開始しました。

 

そして1952年4月に現在のレットヴィーク教会の側にオープンし、ホテル、レストラン、青少年向けの活動などを行なっています。

 

月曜ー土曜のランチは写真のような素晴らしいサラダ、5-6種ものホットディッシュ、ドリンク、コーヒー、ビスケット付きで100クローナ。美味しく、お値打ちです。

 

この教会に妻の祖父母の墓があるので、時々来ますが、いつもスティフトゴーデンのランチが楽しみです。

 

今日は偶然Roland Söderberg所長とお話しする機会がありました。

彼はウプサラ大学卒の牧師さん。スティフトゴーデンの歴史や現状を詳しく説明して下さいました。

 

上述のように、歴史は第二次世界大戦中に遡ります。

スウェーデンは中立を維持していましたが、ナチスドイツに占領される危険も国民は危惧していました。ナチスに批判的な国民をスパイする動きもあり、知人友人のことも安心して話せる環境ではなかったようです。 当時”スウェーデンのタイガー”と呼ばれる国民同士のスパイ活動は止めよう、というキャンペーンもあったとのこと。スウェーデン語の"Tiger"は虎、そして”黙っている”と両方の意味があります。

 

上に”青少年の安心出来る環境”が必要だったのはこのような背景、との説明でした。

 

レットヴィークのスティフトゴーデンは年間のべ3万人の宿泊者があり、ホテルと会議事業が一番の収入源とのお話でした。全体では黒字で、余剰金は青少年活動など社会的事業に回しているとのこと。スティフトゴーデンはアウトソーシングではなく、スウェーデンの教会が直接運営しています。27人のスタッフは全てスウェーデンの教会の従業員とのこと。

 

Roland Söderberg所長に、事業の運営上、教会との関係で何か制限があるのか聞いてみました。

答えは”酒類が出せないことだけ”。

 

”スウェーデンのスティフト全てはこのようなホテル・レストラン事業を行なっているが、レットヴィークのスティフトゴーデンほど多角的な事業を行っている所はない”とのことでした。

 

宗教団体がこのような事業を独自に、成功裡に実施していること、そしてその背景など、色々学んだ一日でした。

 

 

 

 

『スウェーデン-日本 友好と協力の150年』by Dr Bert Edström

今年はスウェーデンと日本の国交樹立150年ですが、この度『スウェーデン-日本 友好と協力の150年』という記念書籍(スウェーデン語、日本語の2ヶ国語)が刊行されることになりました。出版社はSweden Japan Foundation、私は監訳の形で関わらせて頂きました。

 

17世紀からのスウェーデンと日本の交流についての記述、そして52枚の貴重な写真は価値あるものです。

 

本書はこちらのサイトで日本国内配送の事前予約を開始しました。

 

書店で販売の予定はありません。

 

ぜひご検討下さい。

イケア創設者Ingvar Kampradさんの訃報

 

世界最大手の家具製造小売業イケアの創設者Ingvar Kampradさんの訃報でスウェーデンのメディアは昨日からもちきりです。

 

DN紙はトップ記事 さらに4ページもの以下のような見出しの記事があります。

 

フラットパックで”国民の家”を輸出した

訃報に悲しむ(出身地)エルムフルトの人たち

カンプラードほど福祉を世界に拡散させた人はいない

 

私はずっとイケアに関心を持ち、フォローしてきました。『異形の世界企業イケア「3つの強さ」』(週刊エコノミスト)、スウェーデンの家具王が語る経 営哲学とライフスタイル」- 『イケアの挑戦−創業者イングヴァル・カンプラードは語る』の書評(エコノミスト)などの記事も書きました。

 

さらに、泉川玲香前人事本部長との出会い、東海大学生の”提案型”インターンシップなどで大変お世話になり、色々学ばせてもらいました。

 

学んだことは一言で表現するとこれからの”働き方”のヒントです。

泉川さんとの出会い後、”イケアファンクラブ北海道”を創設し、2020年までと公表された札幌店のオープニングを支援したりしてきました。

 

それでも、商品の魅力もさることながら、一番期待したいのは、イケアの働き方がこれからの日本人の働き方のヒントになることです。写真は泉川さんのスライドから。”シンプルに”、”ジャングルジム型のキャリアパス”は説得力があります。

 

スウェーデンの産業はかつてはアセア、テトラパック、サーブなどの製造業がメインでしたが、イケア、H&Mなどはその次の世代です。カンプラードさんはスウェーデンのグローバルな産業の新しいジャンルを開拓した、と言えるでしょう。

 

以下はブログなどのリンクです。

 

 

IKEA新三郷店訪問

熾烈なIKEAの立地獲得競争(スウェーデン)

IKEA-これまでとこれから by Stellan Björk

グローカルな視点から考える大学生の就学力

日本人の働く喜びは39か国中最下位 Ennova社のランキング

IKEA新三郷店インターンシップ AUGUST 2012

Stefan Noreén 大使のこと

ステファン・ノレーンさんは1951年スウェーデン中西部Karlskoga生まれ。

1974年ヨーテボリ大学政治学部卒業後、商務省を経て外務省へ。モザンビーク(1978-80)、EUスウェーデン代表部(1980-83)、国連スウェーデン代表部公使(1987-92)、モスクワ大使館(1992-94)、Commission on Global Governance (Genéve)事務局長(1994-96)、ポーランド大使(1996-2000)、北欧協力大臣政務次官(2002-06)、日本大使(2006-11)等を歴任。

 

現在は産業大臣顧問の他、東京大学総長顧問、理化学研究所理事長顧問なども務められ、頻繁に日本とも往き来されています。

 

東京の大使の時にはグラジーナ夫人と共に本当にお世話になりました。ノレーン大使は歴代スウェーデン大使の中でも、実に庶民的で活動的。

 

東海大学札幌キャンパスにも2度お越し頂きました。札幌へは数えきれないほど来て頂き、お会いする皆さんを虜にされていました。

 

アウトドア環境教育セミナー(2008.09)では参加した皆さん大使と一緒にワークができて驚いておられました。 http://bit.ly/2DFfkuu

 

WORLD CAFÉ 「スウェーデンの学校と日本の学校」(2010 5 23、スウェーデン交流センター主催)も盛り上がりました。

 

最近『友好と協力の150年』という記念書籍の編集作業でよくお会いする機会があります。

 

日本ではこのような立場の方は一般的には”よきに計らえ”と任せて細かいことには口を挟まない、というのが私のイメージです。

 

しかし、ノレーン大使は、本書も何度も何度も読み直し、実に詳細な点まで加筆訂正などの提案をされるのには本当に感服です。メールにも一番に返信、フィードバックされます。

 

スウェーデン政府の図書館にご案内頂き、歴代の在スウェーデン日本公大使の記録を確認したことがあります。私はご案内頂いて、確認作業は自分でやる、と思っていたのですが、何と最後まで一緒に作業をされました。

 

真剣に取り組んでおられる姿がひしひしと伝わってきます。このように近くで一緒に仕事をさせてもらうのは久しぶりですが、その真摯な姿勢に改めて感銘を受けています。Tack, Stefan!

 

 

非正規雇用 Sweden vs 日本

 

スウェーデンの期限付き雇用についての私の古いブログへのアクセスが増えているようですので、最近のデータをチェックしてみました。

 

上のグラフは年齢層別の雇用者総数中の期限付き雇用者の比率です。16-24歳は52.7%ですが、その後急減しています。16-64歳の合計では12.7%です。

 

2017年12月の数字は16-64歳の合計で16.3%です。(SCB)

 

スウェーデンの労働市場は好調のようです。2017年12月の就業者数は500万5000人、失業率は6.0%。労働力率は71,6% (男74.2%、女69.0%)。

 

非正規雇用が4割と言われる日本とは大きな違いですね。

 

105歳ダグニイ・カールソンさん講演会

今夜は105歳、スウェーデン最年長のブロッガー、Dagny Carlssonさんのトーク。

いやはや年を全く感じさせないバイタリティーには驚きと感嘆。

満席の会場の聴衆を笑わせる豊かなユーモア。 例えば最近「未婚ですか?」と聞かれたので、「そう思っています」と答えたとのこと。講演後好きな花束を選ぶように言われたら、「私はバージンではないのでこちらを頂きます」と会場を爆笑させていました。

 

ご著書”Livet enligt Dagny (ダグニイの人生)”にサインをしてもらいましたが、信じられないような元気な筆跡です。(写真)

 

ダグニイさんは1912年5月8日、スウェーデン南部のKritianstad生まれ。現在ストックホルム郊外のSolna在住。ホームヘルパーさんもいなく、4LDKのマンションを自分で掃除もしているとのこと。

 

 

 

ダグニイさんは、自分のブログ(200万人のフォロワー)の他、テレビ出演、社会保険庁、ガン基金などからの投稿依頼、講演等で超多忙な日々。元気さの秘訣はよく食べ、毎日のウォーキング、と答えておられました。

 

 

2004年に二度目の夫が癌で亡くなった時には、もう死にたい、と思ったそうですが、インターネットを始めて世界が広がったとのこと。90歳になってからPC・ネットを学び、93歳でブログをスタート! 100歳の時からはシニア向けのパソコン/ネット教室のインストラクターも務められました。

 

 

”人生最高の時は今”

一番楽しいのは今日のように人と出会い、お話すること。

大切なことは、社会の出来事に関心、興味を持ち続けること。学び続けること。

 

私は「105年間スウェーデン社会で一番大きな変化はなんですか?」と尋ねました。答えは「福祉社会が実現したこと。昔は年金も児童補助金もなかった。」

 

未来をどう見るか?との質問には 「戦争や環境変化に不安を感じている。」

これからの夢? 万里の長城に行くこと。

 

12時頃に寝て朝は10時位までゆっくり寝ているそうです。

 

人生100年時代ですが、私の場合、あと30年もあることになります。ダグニイさんに見習い、健康を維持し、社会の出来事に関心、興味を持ち続け、学び続けたいものです。